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M-1グランプリ2018感想 霜降り明星に “うねる”夜

 M-1グランプリ2018が終わりました。

 

公式サイトより優勝した『霜降り明星

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www.m-1gp.com

 

 できれば去年のように事前になにか書きたかったんですが。忙しくて叶わず。それでも今、見終わってとても感動しているので思ったことなどを書いておこうと思います。松ちゃんがエンディングで涙ぐんでましたが、僕も最終決勝の3ネタはやばかったです。

ラストイヤーまでスタイルを変えなかった(変えられなかった)『ジャルジャル

どれだけ高いハードルを設置しても完璧に超えてくる『和牛』

初登場にしてこれまでの持ちネタの良いところをかき集め渾身の一発をぶちかました『霜降り明星

 一人で酒飲んで、お笑いってええなあってなってました。

 

公式サイトより採点結果

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www.m-1gp.com

 

 優勝した霜降り明星。タイトルに“うねる”と書きましたが、これは審査員のナイツ・塙さんの大会前の素晴らしいインタビューのひと節から。

 

以下引用

僕の中で「うねり」って呼んでいる現象があるんです。要するに、客席が爆発する感じです。M―1は、うねるかうねらないかなんです。カミナリは二度目からは、どうしても見たことあるぞ、ってなっちゃうじゃないですか。パターンを持ってるコンビは、決勝初進出のときに優勝しないと無理なんですよ。

shinsho-plus.shueisha.co.jp

 

  まさに、まさに、今回の優勝のことを言い表してるといえます。客席に嵐のようなうねりを起こし、初出場で最年少M-1覇者になった霜降り明星。彼らは基本同じスタイルでやっているので、ぼくも今回取れないと来年以降は厳しいだろうなあと思ってました。また今回の初出場組で優勝する可能性があるなら霜降り明星だろうなあと。

 

以下去年の自分の記事より抜粋

 

 逆に上がってきたら人気ものになりそうだなあと思ってるのは「霜降り明星」。天真爛漫にボケるせいやにツッコむのはスプーンに写った小栗旬こと粗品。キャラ立ちもしてる子供ウケもいけそうでバラエティに出る準備OKな感じがします、トークは知りませんが。

 なんて言われてるのか詳しくは知りませんが、ツッコミが入るまでなにをボケてるのかわからない置きボケ的なのを多用する印象があります。一斤の食パンマン好き。

kigenyosi.hatenablog.com

 敗退したコンビの話をすると、「霜降り明星」は見たかった。決勝進出者が発表されたときの1番最初に思ったことがそれでした。初出場でいきなり優勝狙えるコンビだと思うので、敗者復活のネタを楽しみに待ちたいと思います。

kigenyosi.hatenablog.com

 

 初出場でうねりを起こしたのに優勝できず、その後M-1を去っていく漫才師は少なくありません。それを本人たちが理解した上での2本目、持ちネタの強い部分を切り合わせた執念をも感じさせるネタ構成、キャリアがまだ浅いのに昨年の『とろサーモン』を彷彿とさせる凄まじい出来栄え。もちろんそれを可能にしたのは1本目にも仕上がったネタを披露できたことにあると思います。打ち上げ配信で千鳥・ノブが「ボラギノールのつかみを思いついた時点で1000万」と言ってましたが、それにツッコミの粗品が今年1年かけて単独ライブで「豪華客船」のネタをやり続け、最後に思いついたのがあのつかみだったと語っていました。2本のうち1本が今年の総決算、そしてもう1本が霜降り明星の総決算だったわけです。去年に続いて力を溜め込んだ初出場が存分に力を放出した。あとは出番順も良かったですが、それは和牛もなので…。和牛に関しては敗因はなにもないです。強いて言うなら去年も言った「制限時間」。今年もやはり時間は使っています。しかし3年連続の2位という結果はほんの少しなにかの要素が違っていれば3回優勝してもおかしくなかったので、これは優勝するよりもすごいです。芸歴の中で出せる最高のネタ2つを選べるならば他を寄せ付けずに優勝すると断言できる。でも「バレて」いるので毎年新ネタで勝負しなければならない。M-1は経験者にとっては新ネタ発表会ともなるので、パターンがわかっていると厳しい。和牛の凄さはわかっていても超えてくるところです。今年は予選の見られる動画は全て見たんですが、和牛は正直イマイチで、個人的にかなり穿って見てました。でもゾンビのロープでそんな気持ちは消えてなくなっていました。もうすべてが完璧で「こうしたら良かった」がなにも見当たらない、前半を捨てた構成も技術的には後半のためなのでどうしようもなく、また新たに武器を発掘して来年も期待してるなんて簡単に言えないわけです。毎年の和牛で舌が肥えた我々は霜降りを味わいさらに舌が肥えてしまった。マジで特別優勝あげても文句はないわけですが、でもこれもM-1なんだろうなあ。

 最終決戦で1票も入らなかったですが、ラストイヤーのジャルジャルは清々しかったです。1本目もジャルジャルでしかなく、2本目のネタが今年は仕上がらなかったので、従来もので勝負。今年の決勝ネタが下ろせなかった時点である種の諦めのようなものを感じました。去年とは対象的な福徳の晴れやかな表情も印象的で、卒業式のような気分になりました。優勝するなら2015年しかなかったのかもしれませんが、このスタイルを審査員に認めさせるには時間がかかるのも事実なので、折れなかったことがかっこいいです。現在の漫才師たちに似たセンテンスを振りまいている「雷坊主の添い寝節」を忘れることはないでしょう。お疲れ様でした。本当に楽しませてもらいました。

 『ミキ』に関しては去年と全く同じことを思ってます。大きな展開も得意のパターンもなくやり取りの上手さだけでここまでできるので特に飽きることもなく、ただ爆発がいつ来るかですかね。『トム・ブラウン』は噂になってるのを我慢できずに予選の動画を見てゲラゲラ笑いました。三振かホームランだなと思ってたら、振り逃げでホームまで帰ってきたという大反省会の総括が的確でしたね。

 今回、点数が伸びなかった(630点までいかなかった)組にはそれなりの理由があり、しかたないのかなと。序盤に出てきた組は審査員がコメントで「良し悪し」を言う流れになってしまい重苦しい空気の影響を受けたのは大いにあると思います。それでも『見取り図』『ギャロップ』に関しては個人的にはどの出順でもうねらせるのは厳しかったかなとは思ってます。ズバリ、ネタが弱いので、霜降り明星やトム・ブラウンに食われるんだろうなと予想はしていました。しかし上手さを見せる大会でもあるので、まだチャンスのある見取り図は来年以降に期待をしたいと思います。

  大会の流れ上今回一番損をしたのは『かまいたち』ですかね。やっぱりここは正直点数低いと思います。去年と違い設定もキャラもフレーズも全部わかりやすい、笑いの量も文句なしで最終戦にいけないのは見てても非常に心苦しい。濱家の痛風コメントでのがん滑りも心苦しい…。ずっと好きなんでラストの来年は優勝見たいです。

 『スーパーマラドーナ』『ゆにばーす』はM-1経験者でうねりを作るよりは上手さを披露しなければいけない立場。ゆにばーすは普通にミスってネタどころではなくなってしまった。名人、自殺しないでね…。スーパーマラドーナはとにかくネタがハマらなかった。仕上がりは文句なしだったはずですが、残念ながらうまく受け取られなかったですね。個人的なことを言えば借金取りのネタが見たかったです。あのネタを出せずにM-1を去るのはほんとに残念。しかしM-1から開放された(武智から開放された)田中がまさかのめちゃくちゃハネてしまったのでセーフということで…。コンビのコメントの高低差ありすぎて耳キーンなるわ。

 今回は審査員の点数がかなり振れてますが、各々の発言内容は的確で納得しながら見ていました。志らく師匠と上沼さんの違いを、とろサーモン・久保田が放送後の大反省会で「リアルに女子と男子の好みの差」という事を言ってましたがほんとに好みの問題だと思います。

 巨人師匠に「近代漫才でのツッコミを完全にやっている」と評された霜降り明星ですが、他方で新しいスタイルの漫才が評価されないのも事実。今回の分かれ目はどこだったかと言えば、ジャルジャルやトム・ブラウンが外部から「遊び・ゲーム」を持ち込んでいることに対し、霜降り明星が持ってきたものは「ギャグ」と「大喜利」だったということだと思います。これは昔からのお笑いの道具で、漫才らしさを感じるかどうかはともかく「お笑いらしさ」は感じるので、見え方は新しく見えてもすんなり受け入れられるんだと思います。

 ボケのせいやがギャグを自由にやり、ツッコミの粗品がそれを「せいやでひと言」的に大喜利っている。2人でネタを作るので強いギャグもアレば強い大喜利もある。塙さんが言ってた面白さとは別の強弱にもつながることだと思います。ツッコミがツッコミ以外の装置として機能するのは現在の漫才では主流になりましたが、このタイプに重要なのはその打率で、手数が多い上にほぼ全て当ててた今回は凄まじかったですね。

 しかし塙さんは巨人師匠にも劣らず安定感がエグいので、来年以降もいてほしいっすねえ。そのおかげか松ちゃんボケに寄ってて面白かった。後半チームプレーで盛り上げていったって発言も良かったなあ。今後一生使っていけるハゲネタをギャロップに提供した志らく師匠は個人的には楽しめましたがジャルジャル評はまじでなにを言ってるのか意味わからんかったです(小声)。

 でも今年のハイライトはやっぱりナイツ・塙さんの「吉本の宝」発言ですかね、霜降り明星は打ち上げで千鳥のノブにも「吉本を頼みます」という最高の賛辞をうけてました。これはスター誕生で良いんですかね。

 最年少で漫才界最高の栄誉を手にした2人の才能が今後お笑い界でどういった輝きを放つのかを楽しながらここらへんで締めたいと思います。

 

僕からは以上!

 

 

とろサーモンがM-1グランプリ2017で優勝できた理由

 

 結論を言えば、運がよかったと思います。それもかなりのレベルで。そうです、いわゆる勝利の女神の大爆笑です。あるいは芋神様の思し召しです。おおジーザス、ありがとう神よ!

 

 もちろん運よく王者になれたから、結果がふさわしくないと言いたいわけではありません。最終審査発表前に松本人志が言った「2組どっちかで迷ってる」というのは、結果やその後のコメントから見ても確実に「和牛」と「とろサーモン」のことでしょう。実際に両組ともとても面白く、素晴らしい戦いでした。あと「銀シャリ」があれば美味しいお寿司の完成です。

 しかしながら素人のぼくは、最後の3組のネタが終わったとき『和牛が新王者だな』と確信していました。いや、じゃらんの社員のくだりでもう決まったなとさえ思っていました。でも結果は違ったわけです。ではなぜとろサーモンは優勝できたのか。そして、そもそもなぜ最終3組に残れたのか。今回はそれを探るべく、冷静に見返して考えていき、そこで得られた結論を個人的な総括も含め書いていこうと思います。物堅く長々とおもんない記事ですよすいません。

 

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公式サイトより採点詳細

 

1回戦で起こった1つ目の僥倖 笑神籤による抽選

 物議をかもした新ルール「笑神籤」。ネタ順をリアルタイムで決めようってやつです。

 

今年は決勝の場で決めることに。生放送中に「笑神籤(えみくじ)」と呼ばれるクジを引き、呼ばれたコンビがそのままネタを披露。1組ずつネタ順が決定していくことになる。

www.m-1gp.com

 

 ネタをやる側はそうとうな重圧がかかったはずですし、実際見てみて、決まったときにそのコンビで笑う準備をしないといけなくなるので、お客さん側も意外に関係してくるなと思いました。トップに選ばれたのは「ゆにばーす」。トップというのは採点の基準になるため高得点をつけられることはまずなく、一番不利と言われています。番組途中、2015年王者トレンディエンジェルたかしが「ゆにばーすが5番目6番目で出てきたときどんな点数だったか見たかった」という発言をしました。ゆにばーすはM-1王者を本気で目指してかなり調整して仕上げて勝ち上がってきたコンビです。ネタを作っている川瀬名人は「甲子園で負けて涙を流している球児を見て、人生でこんなに打ち込めるものがあるのは素晴らしい」と思い芸人になったそうです。そうです本気です。1日の大半を舞台(&闇舞台)とネタ作りに費やす男です。そしてネタは素晴らしい出来だった、正直舐めてましたゆにばーす。博多大吉はトップにつけられる最高得点を与えました。もしも順番が違えばとろサーモンの最終決勝進出を阻み最終3組に入っていてもおかしくなかったわけです。とろサーモンは得点は3位でしたから、得点で負けていたらその時点で敗退です。逆にとろサーモンは良い順番で出来ました。

 

以下1回目のネタ披露順

ゆにばーす

カミナリ

とろサーモン

スーパーマラドーナ

かまいたち

マヂカルラブリー

さや香

ミキ

和牛

ジャルジャル

 

 2つ目の僥倖 「ジャルジャル」の得点がおもったより伸びなかった

 ジャルジャルのネタは素晴らしかったです。もちろん審査員たちが言った「好き嫌い分かれる」というのもわかる。でもスベっていたわけじゃありませんし、完成度で言えば最終3組に残ってもおかしくないとさえ思いました。事実、久保田は敗退コメントを考えていたそうです。しかし得点は伸びなかった。しっかりとやりきったにも関わらずです。福徳が悔しがる姿が目に焼き付いた人も多いと思われます。審査がおかしかったというわけでもありません、たぶん一言で言うと「そういう流れ」だったからです。

 これもある意味では順番の話なんですが、話はジャルジャルの前の組に戻ります。具体的にはまず「マヂカルラブリー」と「さや香」です。2組ともテレビ露出は少なくある意味ではダークホース。結果としてマヂカルラブリーが最下位になってしまい、その後のさや香がそれなりの評価を得ました。構図としては、フリースタイルがスベって、ベタな王道がウケた形です。(さや香については色んな意見があると思いますが個人的には構成と設定についてはすごく普通のネタだったと思います。それで笑いを取れるのは素晴らしい)。

 ここからはぼくの想像になってしまうのですが(そもそもここまでも想像です)、あのネタの流れのせいで評価基準がある程度固まってしまったんじゃないかなと思ったんです。そしてジャルジャルの直前だった本格派のミキ、和牛がさらに高評価を得ます。彼らは掛け合いのスペシャリストです。評価基準はどんどん全体的なディテール、笑いの総量ではなく、テンポやツッコミの強弱などの技術、そしてボケのセンスといった漫才の中身に絞られていくわけです。こうなってくるともう「新しいスタイルだから」とか「笑いの量が多かったから」で加点されることは、ほぼなくなっていってしまったんではないかと。なお音楽と漫才のギリギリを攻めたと評価した松ちゃんは最高評価、巨人師匠もチャレンジ精神を評価しておりました。審査員につまらないという意見があったわけじゃありません。実際ジャルジャルは2015年にはトップで最終3組に残りました。フリースタイルやシステム漫才が評価されないわけではないのです。ただあの年とは空気も審査も色々と違ってしまった。ぼくには、会場の空気が決まりきる前にネタをやれれば、ジャルジャルがもっと高得点を貰えたことも十分あったように思えて仕方ないのです。それこそマヂカルラブリーの順でジャルジャルがネタをできれば全然違った結果になったのかもしれません。最終3組に残り大荒れの展開に…なんてのも。

  もっとも個人的にはマヂカルラブリーもスベってたとは思わんですがね。爆笑しましたし得点も十分です。他がもっとすごかったんです。千鳥に「わしらは2年連続最下位じゃ」と慰められてました。そんな彼らも今では大スターなんじゃ。

 

3つ目の僥倖 「スーパーマラドーナ」の不振

 正直勝ち抜けれたのはこれが1番大きかった。敗者復活で格の違いを見せつけ視聴者投票ダントツで這い上がってきた前回ファイナリストのスーパーマラドーナ。敗者復活で披露したネタ「借金取り」は素晴らしい出来で、決勝で披露できれば確実に3位以内に入っていたと断言できます。それほど面白く、キャラに合っていて、完成度が高かった。しかし決勝でやったネタは「合コン」でした。中身を詳しく説明すると長くなるのであれですが、オネエのフリに対してピークがカニだったりと、面白くはあり、得意の形に持ってきてはいるんですが、2015の「落ち武者」や2016の「エレベーター」と比べるとやはり劣ると言わざるをえない出来栄え。「借金取り」を優勝ネタとして取っておいたのは戦略だと思います。それが正しいかったかどうかはなんとも言えません。しかしこの選択のおかげでとろサーモンは最終3組に残れたわけです。

 

 このようにギリギリの攻防でとろサーモンは最初の難関を突破しました。もちろん本人たちの漫才は素晴らしかったです。なによりも久保田の調子がゲロ良い。中川家礼二がいう「久保田のテンション次第」とはまさにその通りで、優勝後の朝の番組でのネタ披露とかバチボコスベってましたからね。そして久保田の調子がいいので村田の調子もなんだか最高。細かいボケとツッコミ、大きいボケとツッコミを、まるでアドリブのようにとても軽やかにこなしていきました。そしてなによりこの二人のクセのあるネタを即座に受け入れてくれたお客さんでしょう。お客さんに受け入れられるようにしたつかみとネタ順も抜群でした。余談ですが審査員の小朝師匠のブログで久保田が客に感謝していたという様子が伝えられていました。そしてジャルジャルのくじ運の悪さも語っておられましたね。

 

ameblo.jp

 

最終決戦での僥倖 まさかのネタ被り、そして時間オーバー

 最終決戦、間違いなく本命は「和牛」です。去年も2位の実力派で、もはやラスボスの風格。コメント1つとっても全てが落ち着き払っていました。1本目を最高得点で突破したのも当然で、ネタの完成度はとてつもないレベル。1本目だけの審査なら優勝です。

 しかし和牛の2本目のネタがとろサーモンの1本目とまさかの「旅館」被り、まあそこは言うほど関係ないとは思いますが、さらにはM-1に照準を合わせて仕上げてきたネタの路線を切り替え、まさかの水田の嫌みキャラ路線復活。

「旅館」のネタは和牛の得意な手法のネタの1つで、もっと長尺の元になるネタがあります。しかし2015で似た路線の「結婚式から抜け出す」ネタを披露したときには勝ちきれず、水田の嫌みキャラを封印して挑んだのが2016と2017の1本目でした。(同じウザキャラでも正義が男の方にある「結婚式から抜け出す」ネタから、正義が女の方にある「ドライブデート」「お祭りデート」ネタ、そして「ウエディングプランナー」ネタへの転換は見事としかいいようがない)。どういった戦略があったのかはわかりませんが、おそらく1本目も後半で回収するタイプのネタだったので、同じような構成のネタにしたのではないでしょうか。ぼくはこういった和牛のネタは大好きなのでワクワクしましたが、これが罠だった。見ていたときは凄い上手く仕上げるなあと思ってたわけですが、改めて時間を測ると制限時間4分にも関わらず5分近く使ってしまった。とろサーモンは4分以内にしっかりと抑えております。ミキに至っては3分30秒くらいにとどまっていました。こういったケースで内部でどういった減点がされるのかはわかりませんが、おそらく時間を見てた審査員もいるんではないでしょうか。とろサーモンに入れた審査員の4人は、そこを加味した上で選択した人もいるんじゃないかなと勝手に思っております。1回目のネタでももっと得点入ってもいいかなと思ったら30秒近くオーバーしていました。巨人師匠の「ギリギリですね、もうちょっと前半長かったら2、3点落ちてた」という発言もありました、そして最終審査前に言った「ミキは余裕がある」発言も、そのときはよくわからなかったのですが、今考えると時間のことだったのかなあと。

 ミキの0票に関しては個人的にはものすごく納得していて、大吉先生の言うとおり、ボケがベタすぎてシャープなのがあると点数が上がりそうなのと、強いボケに対する強いツッコミ、弱いボケに対する弱いツッコミ(個人的に弱いツッコミやちょっとしたツッコミが大好き)、ここらへんの使い分けですね。そのボケの強さに合わせたツッコミができるようにならないとネタが際立たないのなあと思っております。だた兄弟での息の合ったかけ合いと恐ろしいテンポ、兄昴生の甲高いツッコミは使い所を間違えなければとてつもなく大きな武器です。来年以降も確実にM-1の中心にいるコンビでしょう。

 まああとは「総書記」被りもありましたね。ミキは1つ目も2つ目も「総書記」ネタを大ボケやキラーフレーズとして用意してました。ミキのやるネタの中でも一番強いレベルのボケです。しかしとろサーモンが先にやってしまった。ある意味先取りした形になりました。それも最終審査にミキに票が入らなかったことに影響したのかもしれません(たぶんあんまり関係ない)。「旅館」を含めそのへんのネタ被りに関してはやはり運としか言えないのです。結果として被ったネタのさらに先へ行き、新たな展開の漫才へと歩を進めたとろサーモンに、熟練の軽やかさを演出することになったんだと思います。

 

  もうそこそこ長い大会の歴史、中には突然変異のように現れ、周りを駆逐し優勝していったバケモノ漫才師もいましたが、基本的にはすべて当日の出来次第なのが漫才でありM-1。レベルが上がり、実力が拮抗してるならなおさら。だからこそ面白い(たまにはバケモノ現れてもいいのよ)。この記事だってその日面白いから優勝したという事実にそれっぽい理由を肉付けしてるにすぎません。冒頭、運がよかったから優勝できたといいましたが、これだけのレベルの高さが拮抗すればそもそも運で当たり前だと思ってます。

 とくに今年の結果は、9回も阻まれた高くそびえる決勝の舞台を、なにより恨みきったM-1グランプリそのものを、寒空のもと敗者復活戦という舞台から支え続けた男たち2人への、勝利の女神からのささやかな恩返しに思えるのです。あるいは芋神様の。

 

とろサーモン コンビ結成15年

M-1グランプリ2003 準決勝敗退

M-1グランプリ2004 準決勝敗退

M-1グランプリ2005 準決勝敗退

M-1グランプリ2006 準決勝敗退

M-1グランプリ2007 準決勝敗退

M-1グランプリ2008 準決勝敗退

M-1グランプリ2009 準決勝敗退

M-1グランプリ2010 準々決勝敗退

M-1グランプリ2015 準決勝敗退

M-1グランプリ2016 準決勝敗退

M-1グランプリ2017(ラストイヤー)優勝

 

M-1グランプリ2017感想 史上最高の漫才決戦 大満足の全組大爆笑

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公式サイトより

 

 漫才師にとって1年で1番の大舞台「M-1グランプリ」、銀シャリが2016年最終決戦、史上最高の接戦を制してから1年。今日という日を楽しみに日々を過ごしてきました。そして、今日、楽しみにしたそのまんまを存分に楽しめました。

 すいません酔っ払ってます。だけどほんとに面白かった。

 

 優勝はとろサーモン。最終決戦は7票中4票獲得、うち3票は和牛という大僅差。とろサーモンは自身のいいところを存分に発揮してくれました。(※最終決戦3組は「和牛」「とろサーモン」「ミキ」)

 

 決勝に行きながらもずっと優勝できなかった笑い飯の準決勝バージョンとも言えるのではないしょうか。決勝に出てないだけにある意味お客さんとしては新鮮な漫才になっていて、ネタのストックがたまりきってたこともあり今までのとろサーモンの漫才を凝縮できてたと思います。ぼくは正直優勝予想は全くしてなかったです、すみません。しかしこれがラストイヤー、そして結果を残し続けながらも一回も決勝に行けなかった漫才師の底力。なんの気負いも感じられませんでした。めでたい!

 そして2位和牛。M-1優勝だけを狙ってネタを仕上げてきた和牛が、最終決戦、ほんとうの意味で和牛らしいネタ。ツッコミだけで十分際立つコンビ、M-1制覇にはボケの水田の嫌みな感じをいかに無くすかと思いそれに注目し、去年に引き続き1本目を見終えたときそれをクリアしてるなと思ったら、最後のネタであそこまで嫌みなキャラをぶっこめる強さ。前記事ではハードルが上がってると書きましたが完全に杞憂でした。前年のネタをフリに使ったともいえる凝った構成をネタを2本仕込んでくるネタの豊富さ。正直和牛も優勝ですよほんと。2組優勝です。素晴らしかった。

 最終決戦に進むも0票だったミキは今持てる全部の力を出し切ったと思います。ネタの出来に差があるコンビ、その中1番出来のいいものを持ってきてくれました。来年以降優勝の可能性は十分あります。ネタをたくさん作ってください。またこの舞台で見たい。

 

 審査員はしっかり採点しました。立派なもんだと思います。素人のぼくは10組全組に満点を上げたいです。100点です。今年に入りAmazonで過去のM-1全部見返しましたが文句なく今年が1番レベルが高いと思います。

 

以下決勝1回戦の得点

1位 653点 和牛

2位 650点 ミキ

3位 645点 とろサーモン

4位 640点 スーパーマラドーナ

4位 640点 かまいたち

6位 636点 ジャルジャル

7位 628点 さや香

8位 626点 ゆにばーす

9位 618点 カミナリ

10位 607点 マヂカルラブリー

 

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公式サイトより審査詳細

 

 文句なく全員が面白かった。大喝采。全組ミスらしいミスもなくネタをやりきったことも素晴らしい。

 ビジネスホテルの1階で夜景を眺めるはらちゃんそして敗退者コメントをしっかり用意する(そしてスベる)川瀬名人も、上沼さんに酷評されても頭頂部しばきあげをやめず高評価もらいそして頭なでて終わるカミナリも、やたら漫才を続行したがる久保田も、敗者復活で格の違いを見せつけたスーパーマラドーナも、卍を怖がる山内そしてネタ後にゃんこスターをやるかまいたちも、あの舞台でしっかりスタイルを貫き通してしっかり怒られるマヂカルラブリーそして最終的に脱いで帰る野田クリスタルも、えみちゃんねる出演が決まったさや香も、亜生を自慢する昴生も、安室を歌う川西も、めっちゃ悔しがる福徳の横でボケまくる後藤も、全員輝いてました。

 

 ただひとつ今回の大会ではっきりとしたかなというのはフリースタイルはやっぱり厳しいということ。キャラ漫才やコント漫才は許されても、マヂカルラブリージャルジャルがやるようなお笑い、掛け合いの原型がないシステム漫才は採点評価において漫才としての採点が低くなるということです。笑いの量でそんなに劣っていたとは思いません。とくにジャルジャルのネタなどは完璧に近い出来栄えでした。福徳の悔しがり方からもよくわかります。あれ以上はないと言える。しかし笑いの量が同じなら、より「漫才」をやっている組に点数が入るのだなあということです。カミナリに関してもどつきじゃない部分で笑いを取れているのにどつく必要があるのかという上沼さんの指摘はある意味正論でもあるわけです。

 しかし大会が始まってから意識的にM-1で点数が取れる漫才を仕上げることが当たり前になっているので、これもまたしょうがない。ゆにばーすや和牛にはそういった努力が見えました。それだけに和牛の二人の心中は察します。簡単に「来年も期待したい」などと言えないレベルで。でも今年のネタに関してはほんとに文句なしの最高の出来でした。漫才の面白い部分、楽しい部分がたくさん詰まってて笑えたし、関心させられました。そしてそれを上回ったとろサーモン。対策云々より「らしさ」と経験での突破力見せつけられました。大満足です。松ちゃんも言ってたけどこんなにも盛り上がるなら来週もやってくれ!(流石に無理や)

 

 それではこのあとgyaoの会見やら打ち上げを見たいと思います。ぼくからは以上ですここまで読んでいただきありがとうございました。

 

gyao.yahoo.co.jp

www.m-1gp.com

 

M-1グランプリ2017 決勝進出者答え合わせ編&その他もろもろ

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 M-1グランプリ2017の決勝進出者9組が発表されました。と言うかだいぶ前にされてます。そして、敗者復活出場組、審査員、新ルールなど発表もされてます。決勝進出者発表から半月ほど経つわけですが、色々忙しくて、とにかく楽しみなのは変わりなく、amazonプライムビデオで過去のM-1を全部見返してたりしてました。千鳥敗退コメントでゲロスベっとったなあ。

 

以下公式サイトから本大会出演者一覧

■司会
■審査員
オール巨人 上沼恵美子 春風亭小朝 中川家・礼二 博多大吉 松本人志 渡辺正行 (50音順)
■敗者復活戦リポーター
■決勝進出者
かまいたち ゆにばーす マヂカルラブリー さや香 ミキ とろサーモン 和牛 ジャルジャル カミナリ 敗者復活1組 
計10組(エントリー順)

 

 審査員は去年のメンツにリーダーが戻ってきたのと金髪豚野郎が混じってる運びですね。一応前回記事の決勝進出者予想の答え合わせをしてみようと思います

 

・和牛

→○進出

スーパーマラドーナ

→×敗退

かまいたち

→○進出

・ミキ

→○進出

ジャルジャル

→○進出

さらば青春の光

→×敗退

霜降り明星

→×敗退

天竺鼠

→×敗退

とろサーモン

→○進出

 

 半分以上当たってやったぜもしくはそこそこ外れて残念とかはとくになにも思ってなくて、やはり来ると思わなかったコンビが来たワクワクがあります。

 予想通りに上がってきたコンビに関しては前回の記事で語ったのでいいとして、予想しなかったコンビは「ゆにばーす」「マヂカルラブリー」「さや香」「カミナリ」の4組。この内「さや香」以外は知ってたし、名前も出してたので個人的なダークホースは「さや香」ですね。ネタは一切見てませんがチュートリアルに似てるというのを聞いたのでかなり楽しみ。チリンチリンはM-1史上一番好きなネタです。

 一番驚いたのは「カミナリ」で、あの頭頂部しばきあげストロングスタイルで、2年連続上がってくるというのは相当なネタのレベルアップと仕上がりがないとなし得ないものだと思います。もともとネタの発想・構成だけでも面白くはあるんですが、ラスボス上沼恵美子を意識するのか、あえてしないのかそこが見所ですかね。

「ゆにばーす」は優勝すれば引退するのを公言してるので、しちゃったらゴッドタンあたりで引退特集を…。 まあ結果がどうなろうと今回1番ブレイクするのはゆにばーす川瀬名人なんだろうなという気がしとります。もはやゴットタンや本能Zでハネてましたし。なお今田東野にハマってても東京で活躍するのは厳しいもよう。『内村さんに行け。俺らのところには来るな!(名言)』

 「マヂカルラブリー」は消費カロリー量が注目されます(大真面目)。

 

 敗退したコンビの話をすると、「霜降り明星」は見たかった。決勝進出者が発表されたときの1番最初に思ったことがそれでした。初出場でいきなり優勝狙えるコンビだと思うので、敗者復活のネタを楽しみに待ちたいと思います。「さらば青春の光」もネタのワクワク感が普通の漫才師とは段違いなので決勝で見たかったです。ラジオで裏話とか聞けないのは寂しいので番組やってるコンビが上がってくるというのも期待したい。

 

以下公式サイトから敗者復活戦の出演者一覧

■司会:
陣内智則 ヒロド歩美(ABCアナウンサー)
■出演
■ゲスト
■出場者
計20組 (エントリー順)

 

 

 そしてかなり重要なんじゃないかというネタ見せの順番を決めるルールが変わりました。見てる方にはとくに関係ないことですが、演者の緊張感はだいぶ違うと想像します。

新ルールを発表。例年はこの場で決めていた決勝のネタ順を、今年は決勝の場で決めることに。生放送中に「笑神籤(えみくじ)」と呼ばれるクジを引き、呼ばれたコンビがそのままネタを披露。1組ずつネタ順が決定していくことになる。

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 展望ですが優勝候補に関しては残った3組の兼ね合いもあるので難しいのですが、本命は「和牛」ですね。でも理由は去年出来が良かったというところなので、逆にハードルが上がってるともいえます。ただネタの豊富さはわかってるので本命ですね。時点で「かまいたち」。面白い芸人というのを理解された上でやる漫才は強い、実力もあるならなおさら。史上初のキングオブコントとの二冠という期待も強いと思われます。そのほか優勝するところを想像しやすいなあと思うのは「ミキ」や敗者から上がってきたときの「スーパーマラドーナ」など。オーソドックスな漫才師が並べば本命順に優勝する確率が高いと思ってますが、最後の3組に変なのが混じったら新鮮さとハマり加減でそいつが持ってく可能性も…。それを狙ってしてくるコンビもいると思います。「さらば青春の光」が上がってくれば荒らしてくれそうな予感があるし、それしか出来ない「ジャルジャル」はもはや悲哀すら感じるので、ぜひ優勝して一花咲かすのが見たいという気持ちもあります。そして敗者復活の舞台が似合いすぎる「とろサーモン」がちゃんと決勝で受け入れられるのかが心配です。最後にでかい花火お願いします。

 

 年末は笑ってはいけないシリーズを初め、お笑いが騒がしくて大好きです。今日、12/1からドキュメンタル シーズン4配信スタート、明日にはイッポングランプリ。そして12/3にM-1ですよ。明後日には新王者誕生してるわけですね。

 てか見るもん見るもん松っちゃんだらけやないの。最近は親の顔より見てるな。

 

グダグダとお付き合い頂きありがとうございました。ぼくからは以上です。

 

 

M-1グランプリ2017 準決勝出場者及び敗退者への感想

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 これまでテレビやネットで見た漫才やバラエティでの印象などで、期待したいコンビや大会の展望などを語っていきたいです。ちなみに今年のネタは一切見てません。情報も全然知りません。

 初見の感想としては「なんか順当な感じがするな。和牛とスーマラ安定。若いのはミキと霜降り明星が中心になってくるのかな。ランジャタイが来たらヤバイ」くらいですかね。あと「ウエストランド落ちた~!」

 ここでは知っているコンビを中心に紹介がてら語っていきたいと思ってます。知らないコンビも楽しみだ。

 

以下公式サイトから準決勝進出者一覧

No.37     かまいたち
No.74     相席スタート
No.452   ランジャタイ
No.776   ゆにばーす
No.1346 さや香
No.1353 からし蓮根
No.1578 笑撃戦隊
No.1826 ミキ
No.2306 三四郎
No.2369 Aマッソ
No.2400 見取り図
No.2467 和牛
No.2468 ニューヨーク
No.2471 ハライチ
No.2760 囲碁将棋
No.2830 大自然
No.3637 天竺鼠
No.3642 カミナリ

 以上29組にワイルドカードの1組を足した合計30組の中からファイナリスト9組(今年から1組増えました、以前は8組)が選ばれ12/3の生放送でネタを披露するわけです。

 さらには落選した組の中から1組、当日お昼のネタ披露で1番視聴者投票を得られれば敗者復活という形で救済の道が残されています。サンドウィッチマントレンディエンジェルなどが敗者復活から栄冠を勝ち取りました。

 ワイルドカードの1組が全くわからないので置いておいて、29組の中から決勝に進む9組を予想したいと思います。予想というか希望ですが。

 

 まず最初は去年の最終決勝で銀シャリに惜しくも敗れた「和牛」と「スーパーマラドーナ」ですね。安定の面白さでスーパーマラドーナは2015、2016とファイナルに残り、和牛も敗者復活を含めると2015、2016と出場、段々とネタの完成度が上がっている印象です。2016の最終決勝は優勝した銀シャリも含め三者三様に大爆笑をかっさらい松本人志に「今までにないくらいの僅差だった」と言わしめました。

 ぼく個人としては和牛が優勝するのかなと思いましたねえ。敗者復活、ファイナル、最終決勝と段々ボルテージが上がっていったような感じがして、見ていてとても興奮させられました。大会通して1番面白かったネタが銀シャリの1本目「ドレミの歌」のネタだったので不満もありませんでしたがね。


和牛 2016年M 1敗者復活から予選、決勝までの3本をお楽しみください!

 

 去年はとにかく嫌味なボケをしまくる水田がマイルドになって嫌いになれないようなキャラ付けを上手くできたのがより笑いに繋がって良かったです。ほんとに優勝を狙ってるコンビの修正だなあと。そしてツッコミの川西の女役はハマりすぎてて惚れそうになる(オードリー若林談)。今年もカップルネタが見たいですね。

 

 スーパーマラドーナはオーソドックスなしゃべくり漫才コント漫才もこなしますが、ツッコミの武智がボケの田中のネタ空間に入らず、俯瞰で説明ツッコミするタイプのネタがとくに面白くて好きです。2016の「エレベータ」のネタも良かったですが、2015の「女性の部屋に招かれる」ネタが1番印象に残ってます。パンツずっとかぶってんの。ほかのコンビの出来が悪ければ持っていくだろうなという安定感を感じます。田中が飛ばなければ。


スーパーマラドーナ 2015年M1 落ち武者

 

 話題性という意味で上がってきてほしいのは「かまいたち」ですね。キングオブコント優勝してバリバリ売り出し中。キングオブコントM-1の二冠は今までいません。昔からコントが面白く、とくに面白いのは漫才でも受け継がれるボケの山内のサイコパスキャラ。あらびき団でやってた「ホームルーム」コントはお笑い史に残したい名作。割れたガラス舐めるところが最高です。


かまいたち『ホームルーム』

 

 続いて予想するのは「ミキ」。兄弟で漫才をやっていて、人気者の弟・亜生と千鳥大悟の乳首を吸ってボコボコされた兄・昂生の兄弟ならではの息の合った掛け合いは勢いを感じます。去年の敗者復活では和牛についで2位の成績で惜しくも敗れました。喋くり漫才中心という意味でも、勝ち抜けした銀シャリを埋める形で中心になっていくんじゃないでしょうか。今年取れなくてもまだまだチャンスがありそうなタイプですね。ENGEIで披露した「カレー」のネタがメガネがツッコミでズレるというハプニングにも見舞われ、ものすごくハネた。


ミキのお兄ちゃん漫才中にメガネがズレる

 

 どういうネタで来るのかわかりませんが「ジャルジャル」も注目してます。残ってほしいですね。不器用なところがあり色々批判にさらされることもありますが、俺たちはネタしかないんだ感が伝わってもうね…。切実に2015は優勝してほしかったです。「雷坊主の添い寝節」が頭から離れません。ネタの突飛さが面白くて好きなんですが、やっぱり強引に笑わせるお笑い腕力とも言える喋りや掛け合いが強くないのは厳しい。M-1決勝ともなると劇場でバリバリやってるコンビが異常なくらい仕上げてきますからね。


爆笑ヒットパレード2014 ジャルジャル

 

 ネタの突飛さではもう一組。「能やん」という強烈なパワーワードを生み出した「さらば青春の光」。安定感という意味ではネタの出来にも左右されると思いますが、キングオブコントではバナナマン設楽が嫉妬する完成度のネタを披露してました。ほぼ干されてるような状況からネタの面白さだけで普通にテレビに出てるのはまさに、「そんなマンガみたいな話ある?」


さらば青春の光 漫才「マンガみたいな話」(M-1グランプリ 2016 準決勝)

 待遇を不満がって事務所抜けるわどこにも拾ってもらえず独立するわその上先輩の女寝取るわで好感度はほぼ0ですが、そこがいい。(ツッコミの)森田の顔すごい嫌い、生理的に受け付けない、だけどやっぱ笑っちゃうっていうのはおぎやはぎ矢作談。

 

 逆に上がってきたら人気ものになりそうだなあと思ってるのは「霜降り明星」。天真爛漫にボケるせいやにツッコむのはスプーンに写った小栗旬こと粗品。キャラ立ちもしてる子供ウケもいけそうでバラエティに出る準備OKな感じがします、トークは知りませんが。

 なんて言われてるのか詳しくは知りませんが、ツッコミが入るまでなにをボケてるのかわからない置きボケ的なのを多用する印象があります。一斤の食パンマン好き。


霜降り明星 漫才「アンパンマン」

 

 ボケの川原が尖りまくってる「天竺鼠」も是非みたいですね。あとには戻れないレベルに尖ってるので、どっちに転ぶか全く想像つかないですけど。人志松本プレゼンツドキュメンタルでは尖りきったセンスを遺憾なく発揮していました。

 今年でM-1出場資格が最後となる「とろサーモン」も期待してます。去年の敗者復活でも面白かったですし、久保田はもっと面白がられてほしい存在。それだけにツッコミの印象がなかなか薄いです。

 ということで予想という名の個人的な願望としては

・和牛

スーパーマラドーナ

かまいたち

・ミキ

ジャルジャル

さらば青春の光

霜降り明星

天竺鼠

とろサーモン

の9組、敗者復活で有名所が上がってくれば盛り上がりそうで満足です。

 

 もちろんほかにも有力な候補はいます。どうせ予想なんて当たりませんし面白い人が出てくればいいわけです。

 去年のファイナリストである「相席スタート」。去年は男女が前提のネタとしては完璧な出来栄え、上沼さんが高評価してました。しかし逆に言えばこの手のネタの限界点があそこなのかなとも思ったり。

「カミナリ」も去年のファイナリストです。どつき漫才が初見の印象を上回れるか。

囲碁将棋」や「見取り図」などオーソドックスな漫才師がどこまで仕上がってるのかも楽しみです。(オーソドックスかは人による)

そしてすでに人気者である有名組。「ハライチ」は毎年のようにファイナルに上がってきては仕上がりの差や緊張でダメなところしか出ずという印象、澤部は相当忙しいはずなのでなかなか練習できないのかな。上がってきたら岩井の腐った部分がよく出たようなネタも見てみたい。

南海キャンディーズ」も漫才に精力的ですね。メイプル超合金もそうですがパーソナルな部分を知った上で見るとだいぶハンデになってしまうのが大変なところ。

三四郎」も今や人気者。個人的には大好きですが、澤部と同じく小宮が忙しそうでコンビ間で息が合うかどうかだと思います。ハライチもそうだがハマったときの掛け合いは抜群に面白い、有名になりながらいまだにM-1の夢を追っていることもあり持ってるものはやはり一流。優勝できる新ネタを作れてるかですね。

 若手ではその小宮に憧れ、M-1にすべてを懸け優勝すれば引退するとも公言している「ゆにばーす」。ツッコミの川瀬名人の発言ですが、そのキャラクターがすでに目をつけられゴッドタンなどでイジられだしてるもよう。正直ネタより人物が面白い…

大自然」もバラエティで見るようになりました。サンドウィッチマンみたいな体格でスリムクラブのような間の漫才が印象的です。お笑い向上委員会でハマってましたね。

他にも「マヂカルラブリー」は去年の敗者復活で大笑いしたコンビの1つなので期待してます。

 その他、語れるほど詳しくないコンビも多数います。名前だけしか知らないとか。触れなければいけないのは冒頭でも言った「ランジャタイ」。若手芸人の中では天才と祭り上げられ教祖のような扱いを受けているコンビで、芸人をやめないでくれと周りの芸人からお金を援助されるレベル。どういうネタをしてどういう受け取られ方をするのか全くの未知数ですが「仏が沼にハマったよ」のネタを初めてみたときはゲボでそうなくらい笑いました。


ランジャタイ 漫才 東京漫才コレクション2015

 

「Aマッソ」ももしかしたら残るかもしれないですね。見た目にも華があるし、初めてみたとき女性コンビでどういうネタやるのかなと思ってらかなり尖っててびっくりした印象があります。

 

 さて、準決勝までで敗退してしまって残念なコンビもいます。準決勝に残れば敗者復活でネタは見れるわけですからね。やっぱりここまでは残ってほしかったというわけです。

 一番はやっぱり「金属バット」ですね。かなり期待してました。YouTubeでよくネタを見るのですが、ネタの発想の突飛さだけでもずば抜けてると思います。今回の残ったAマッソの完全上位互換だと思ってるくらいで。あの大舞台でどんな化学反応が起こるか、もしかしたらハネるかもと想像しただけで残念。見た目がやべーやつでネタもやべーのが非常にいいです。マナカナに見つからないといいけど。


金属バットさんのお漫才

  

コマンダンテ」も見たかったコンビですね。間と空気感がよく、力を抜いてるタイプの中では抜群です。


コマンダンテ 漫才維新2014-15 ROUND1

来年に期待ですが、ワイルドカードの可能性もあるのかな。ウエストランドへの感想はとくにありません。

 

準決勝は11/15 ここで9組が決まります。どれくらい合っているのかを楽しみに待ちたいと思います。暇があれば答え合わせ記事も書こうと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。ぼくからは以上です。